瑪瑙の庭

web物書き、大久保珠恵(おおくぼたまえ)の創作ブログです。主に自作小説のことを書いています。

「磐梯山怪奇事始」:「あなたの街の物語コンテスト」応募作

 こんにちは。

 

 さて、先ごろ開催が発表されました「あなたの街の物語コンテスト」に応募する小説について少し解説してみようかなと思っております。

kakuyomu.jp

 

 

 さて、私の応募作第一弾は、ホラーになります。

 地元である福島県会津地方の伝説を題材に、伝奇ホラーテイストのお話に仕立ててあります。

 ただし、主人公となる人物は、南部藩(現在の岩手県北部~青森県下北半島にかけて)の方ということを、お断りしておきます。

磐梯山怪奇事始」

kakuyomu.jp

 

 天明二年(1782年)。

 東北一帯で続いた不気味な子供の神隠し事件の犯人は、会津藩磐梯山に住まう怪物の仕業だということが突き止められた。

 被害を受けていた南部藩からも討伐隊が結成され、磐梯山へ遠征しての山狩りが決行された。

 その中に、鉄砲の名人である浪人、松前三平の姿もあったのだった……

 

 さて、この怪物の不気味なところは、

「色んな動物に少しずつ似ているけれど、全体としてはどんな動物にも似ていない」

 という奇怪な見た目もさることながら、

「鉄砲の達人以外の銃弾は全て跳ね返してしまう」

 という、原理不明の厄介な特質を持っていることでしょうかね。

 

 どんな怪物だったのか、具体的に知りたい方はこちらの記事P155を。

books.google.co.jp

 

 さて、この気味の悪い伝説を元に、ホラー小説として色々と脚色したのが拙作「磐梯山怪奇事始(いわはしやまかいきことはじめ)」となります。

磐梯山怪奇事始(大久保珠恵) - カクヨム

 

 南部藩浪人・松前三平は、自身も「磐梯山の怪物」に我が子を殺された一人。

 彼は家伝の大筒を携えて、会津藩磐梯山麓に乗り込むが……

 

 話は土地の古老から、三平が「怪物」の話を聞かされる、といった体で進みます。

 のどかな田園風景を守るかのような磐梯山(ばんだいさん)は、かつては「いわはしやま」と呼ばれており、文字通り「天に繋がる磐(いわ)のはしご」という意味を持つ霊山である。

 その聖なる山から、何百年かごとに、凶暴な怪物が降りてきて下界を襲う。

 その怪物に名はなく、「化け物」「怪物」とだけ地元では呼びならわされていること。

 そして飛び道具で仕留めることが慣例だが、その飛び道具も、何故か並の腕前の者のそれでは駄目で、名人の矢もしくは弾丸でないと通じないという奇妙な性質があること。

 

 これらの話を元に、三平は怪物を一人で退治することを決意しますが……

 その最中に彼が気付いてしまった、怪物の正体。

 

 言葉に厳密に当たられる方の中には、何故「事始」という題名か不審に思われる方もいらっしゃるかと思います。

 普通「怪奇譚」とか「怪奇録」とかじゃない? と。

 お読みいただければお分かりですが、「この怪物は退治されても何百年ごとにまた磐梯山から現れる」という設定を付けてあります(こちらは私の創作です)。

 つまり、「この事件」が最後の怪物出現ではない、まだほんの始まりだよ、という意味なんですね。

 何百年かに一度。

 この小説の事件の起こったのが1782年。

 今は2016年。

 およそ230年ほど経過しています。

「何百年かごと」の周期には、ちょうどいいと思われませんか?

 そろそろ、またあの「怪物」が姿を現すかも知れない……

 

 はたして現代に「松前三平」は存在するのでしょうか。

 現在の技術でこの怪物に対抗するなら、自衛隊アサルトライフルかSATのスナイパーライフルか……?

 さて……?

 

 といったところまで想像していただけたら、と思いまして、不気味な余韻を残す終わり方を採用しております。

 いやあ、地元の知ってる場所をホラーにすると、怖さ倍増な気がしますね!!

 私は今物凄く怖い!!(満面の笑顔)