瑪瑙の庭

web物書き、大久保珠恵(おおくぼたまえ)の創作ブログです。主に自作小説のことを書いています。

わらわな奥様~「あやし皇子乱戦記」の萌えキャラ語り~

 こんばんは。

 

 先日完結した現代妖怪絵巻「あやし皇子乱戦記」より、ちょっとした萌えキャラ語りを。

kakuyomu.jp

 

 主人公・神楽森紫王(かぐらもりしおう)の母親、聖地の守護妖怪・天椿姫(あまつばきひめ)について少し。

 

 お読みいただければお分かりかと思いますが、天椿姫は一人称「わらわ」で語尾に「~じゃ」が付く、わらわ奥様です。

 立場的には、作品の舞台となる「神代市(かみしろし)」の妖怪の頂点に立つ存在で、女王様っぽい感じです。

 

 いや、私、昔からこういうキャラクターに弱いんですね。

 往年の名作ゲーム「クロノトリガー」に「ジール女王」という方が登場しましてね。

「わらわ」「~じゃ」口調で女王様、二児の母というキャラクターだったのですが、この方がツボでして。

 以後、すっかりわらわな女王様&奥様&お母様が性癖に練り込まれまして。

 

 しかしです、なかなかこういう時代がかった口調の女性キャラというのは書きづらいものでして……登場させる状況が限定されてしまう……。

 特に現代ものだと、よっぽどの理由(それこそ「あやし皇子」みたいに、何千年も前から生き続けてきた支配者的な女性妖怪というくらいの特殊な設定があるとか)が存在しない限り、まず書くのは不可能です。

 

 でも、今回、嬉しいことにピッタリ条件にハマッた立場のキャラクターを登場させられることになり、私は晴れて天椿姫を「わらわ奥様」に設定したのでした。

 

 ええと、天椿姫の能力的なモデルとしては、

長壁姫 - Wikipedia

と、

鈴鹿御前 - Wikipedia

を採用しました。

 

 長壁姫、良いですよね。

 大物妖怪ぽい匂いがぷんぷんします。大御所チックというか。

 元は山の神だったらしい、という部分も、神様スキーな私の琴線に触れますね。

 人間は表の世界の支配者でしかなくて、本当に闇の奥深く、隠された真の支配者がいる――というこの設定も、中二マインドな私のハートに突き刺さります。

 無礼を働くと情け容赦なく殺して下さるのもいい感じ。

 天椿姫も、この辺の「普段は有り難いけど、怒らせると怖い支配者」感を出すために、作中で数人祟り殺してますね。

 

 さて鈴鹿御前は、なかなかロマンチックな妖術を使う鬼女さんです。

 ひとりでに動く剣を使ったり、星を舞わせたり、空飛ぶ車に乗って空を駆けたりする妖術の大家です。

 天椿姫が星のような発光体を纏っているのは、この「星を操る術」をモデルにしたものですね。

 能力的なこと以外でも、自分を退治にきた人間の男性とのロマンスがあったり、なかなかドラマ的にも興味深いです。

 詳しくはこちら

  

 

鬼 (Truth In Fantasy)

鬼 (Truth In Fantasy)

 

 などお読みになっていただけると、なかなか面白いかと。

 

 さて、

あやし皇子乱戦記(大久保珠恵) - カクヨム

の主人公・紫王の母親である天椿姫ですが、紫王の父であり夫でもある阿修羅・陀牟羅婆那(ダムラバナ)との出会いは、四百年ほど前、江戸幕府が開府してさほど時間が経っていない頃のことでした。

 その頃、「一国一城令」が出され、一つの藩に、城は一つしか作っておいてはならぬ、という決まりが幕府によって全国に通達されたのです。

 しかし――神代市の前身、神代藩は、それに従えぬ訳がありました。

 当時の藩主が、幕府に訴えます。

 

「実は、我が藩の神楽森山にある山城・神楽森城には、強力な妖怪が住み着いております。その妖怪の祟りがあるので、どうしても城を壊せないのです」

 

 幕府としては、ああそうですかと、簡単に例外を認める訳にもいきません。今後の秩序に関わります。

 そこで駆り出されたのが、陀牟羅婆那を護法童子として使していた、当時の彼の主である高野山の高僧でした。

 かくして、陀牟羅婆那は天椿姫を倒し、神楽森城を奪還する任に向かいます。

 

 一方は、聖地を数千年に渡り守護する大妖怪。

 もう一方は、かつては弘法大師に仕えたこともあるという、格の高い阿修羅の戦士。

 

 戦いは熾烈を極めました。

 天椿姫が妖術の大家なら、陀牟羅婆那は戦いの大家です。

 一進一退の攻防が続きます。

 

 しかし、どちらも決定打を放つには至らない。

 そんな時に、ある知らせが陀牟羅婆那とその主にもたらされます。

 幕府が方針を翻し、神楽森城の存続と、天椿姫が妖怪に限定するのだったら、支配を認めるというお墨付きを発布したのです。

 

 陀牟羅婆那はそれで手を引き、去っていきます。

 二人の戦いは、これで終わったのです。

 しかし、それぞれが互いの面影を胸に秘めての別れでした。

 

 その何十年か後。

 陀牟羅婆那が、今度は単身で、天椿姫の前に現れます。

 

「私の主が死んだ。もはや、私を使役できるだけの法力を持つ者は、この宗派にはいない。そこで、神界へ帰ろうと思う。その前に、戦った中で最も強者であったそなたに、別れを告げに来たのだ」

 

 天椿姫は、喜びます。

 

「そのようなつれないことを仰るとは憎いお方。神界ではなく、わらわの城においでになるおつもりではありませぬかや?」

 

 まあ、その。

 色々ありまして(無難な表現)。

 陀牟羅婆那は天椿姫の元に留まり、二人は夫婦の契りを交わしました。

 

 この何百年か後に生まれたのが紫王ですが……

 時期的に見て、紫王に兄か姉が存在してもいいかも知れませんね。